​靴作りの現場に触れるなかで面白みを感じた要素を取り込んだクロスサンダルです。底付け職人の工房にはたいてい革の切り回しがそこらに散らばっています。その中でも私が好むのは、ショルダーやベンズといった革。中底や本底に使用する3~5mm程度の厚みのある革です。職人が余分なシロを包丁で丁寧に切り回していくと地面に落ちるアートピースのような端材は、水や薬品ジミがよく似合うと感じていました。通常は中敷きを敷くためその経年変化を見られる場面は少ないのですが、本モデルでは自身の汗ジミが靴のデザインになっていく様をお楽しみいただけます。中底と本底を繋ぐマッケイと出し縫いの太糸ステッチはピッチの差が靴に心地良いリズムを作ります。密度の高い革に鋭い針であいた穴、そこに力強くめり込んでいく太糸。自然の豊かさを感じていただければ幸いです。

モデル名は建築設計事務所ヨハンセン・スコブステッド・アーキテクターの代表名より。「現代の建築プロセスや素材に普遍的な建築的価値を結びつけることでアイデア、技術、製造方法の統合を目指す」という、自然に対しての謙虚な姿勢に学ぶものがあり拝借しています。